1950

• IBM の Hans Peter Luhn が Luhn Scanner のプロトタイプを開発した. これは IBM のパンチカードを使って光電子セルのついた特別のスキャナを通すものである. 検索は特定のフィールドに限定されない. これは 1951 年 9 月にニューヨーク市で開かれた World Chemical Conclave で初めて公開された.
• 米国特許の The Information for Industry Index to U.S. Patents (IFI/Plenum) が Mortimer Taube のユニターム・システム索引法を使って発刊された.

1951

• AEC Technical Information Service の Mortimer Taube と Alberto F. Thompson が米国化学会化学文献部会主催の Symposium on Mechanical Aids to Chemical Documentation で "The Coordinate Indexing of Scientific Fields" を発表. これが coordinate indexing という語を使った最初である.
• James W. Perry と Robert S. Casey が Punched Cards: Their Application to Science and Industry を出版. 1958 年に出版された第二版は Madeline Berry と Allen Kent との共著となった.
• ジョンズ・ホプキンス大学の Welch Medical Library で Eugene Garfield は Current List of Medical Literature (later merged with Index Medicus) を機械的に作成する方法を開発した. このデータベースの検索には IBM 101 punched-card sorter を利用した.
• Sharp and Dohme の Claire Schultz は Calvin Mooers の重複コーディングと Remington Rand punched-card sorter を使って化学情報の検索をおこなった.
• 英国で Derwent Publications, Ltd. が特許抄録サービス Central Patents Index を開始した. 索引にはパンチカードが使われた.

1952

• 米国国立研究評議会 (U.S. National Research Council) の Chemical-Biological Coordination Center の Karl Heumann と Raimon Beard が化学およぴ生物学分野におけるパンチカード、分類法などの情報技術についての調査結果を発表した.
• モスクワのソ連科学院に科学情報院が設立され, 1955 年には化学抄録誌 Referativnyi Zhurnal, Khimiya, を創刊したl. 1955 年にはこの機関は全連邦科学技術情報院となり, 全科学分野の抄録索引を始めた.
• 米国国立研究評議会 (U.S. National Research Council) は化学構造についての最良の表記法についての比較研究を提案した.
• W. J. Wiswesser が化学構造の線形表記法 Wiswesser Line Notation (WLN) を発表.

1954

• フランスで Jacques-Emile Dubois が DARC (Description, Acquisition, Retrieval, and Correlation) システムに関する最初の研究をおこなった.

1955

• Chemical Abstract Services (CAS) が研究開発部門を設立した.
• Eugene Garfield が引用索引についての論文を Science に発表.

1956

• Robert Cahn, Christopher Ingold と Vladimir Prelog が立体異性体のあいまいな物質に対する命名法を 発表した.

1957

• IUPAC が命名法についての規則を制定し, 無機、有機、物理化学の各分野毎に有名な赤、青、緑本として発行した.
• Eugene Garfield Associates, Inc. が Pharmaceutical Manufacturers Association と共同でステロイド化合物の最新文献を集めて索引するプロジェクトを開始した. ここで用いられたコーディング法は後に米国特許庁で特許審査官が最新文献を検索するためのパンチカードに応用された. このプロジェクトは後に Index Chemicus に発展した.
• 西ドイツ Farbwerke Hoechst の Robert Fugmann と協力者が低分子有機化合物のための高能率コーディング、蓄積、検索システム Generic Retrieval by Magnetic Tape Storage (GREMAS) を開発した.

1958

• 米国特許庁 (U.S. Patent Office) と国立標準局 (National Bureau of Standards: NBS) が化学情報を中心とした特許ファイル検索に Standards Electronic Automatic Computer (SEAC) を用いた実験的な HAYSTAQ (Have You Stored Answers to Questions) システムを開発した.
• International Conference on Scientific Information (ICSI) がワシントンで開かれた.
• National Federation of Science Abstracting and Indexing Services が設立された. 1972 にはこれは National Federation of Abstracting and Indexing Services (NFAIS) となった.
• 日本科学技術情報センターが「科学技術文献速報」を創刊した. これは全世界の文献を対象とした.
• Hans Peter Luhn (IBM) と Herbert Ohlman (System Development Corporation) が最初の key word in context (KWIC) 索引を ICSI で発表した.
• Eugene Garfield Associates が Current Contents/Life Sciences 第一号を発行した. これは 1952 年に作られたプロトタイプに基づいており、生命科学、薬学、化学分野をカバーしていた. Garfield は同時に化合物名から分子式を生成するアルゴリズムの研究を開始した.
• Beilsteins Handbuch が CIP (Cahn, Ingold, Prelog) 記述を採用. CIP は現在世界的に用いられている.
• Eugene Garfield が ISI (Institute for Scientific Information) を設立.

1959

• Ascher Opler (Dow Chemical Company) が化学構造をコンピュータに入力するために光ペンを使うことを提唱した.

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1960

• CAS と米国生物系学会連合 (Union of American Biological Societies) (その情報サービス部門は後に BIOSIS--BioSciences Information Service of Biological Abstracts となった) が作業の重複を避けるための抄録交換に合意した.
• 米国国立科学財団 (National Science Foundation: NIH) は CAS の新規情報処理手法研究開発への資金援助を開始した. この時の CAS の所長は Dale B. Baker でまもなく Fred A. Tate が研究部長として加わった. このプロジェクトには化学物資登録システムと全国規模のコンピュータ化学情報システムの開発が含まれていた. 1974 までにこの支援規模は $23 百万ドルにのぼった.
• Eugene Garfield Associates から名前の変った Institute for Scientific Information が Index Chemicus (別名 Current Abstracts of Chemistry) の第一号を発行した, これは月刊で新規な化学物質と反応を紹介するものであった. これにはコンピュータ作成の化合物名から作成した分子式索引がついていた.
• CAS は Chemical Titles (CT ) の 5 月分の見本誌を発行した. これは 1961 年から隔週で刊行された. CT は Hans Peter Luhn の KWIC 索引によってほぼ完全にコンピュータ編集・作成された初めての定期刊行物である.

1961

• 米国化学技術者協会 (American Institute of Chemical Engineers: AIChE) が DuPont 社技術情報センターのコンサルタント Mortimer Taube が開発した Technical Information Thesaurus を基にして Chemical Engineering Thesaurus を発行した.

1962

• DuPont の Donald J. Gluck らの仕事を基礎として, CAS の Harry L. Morgan が二次元構造図をコンピュータで処理、検索可能な表形式 (結合表) に表すアルゴリズムを開発した. このアルゴリズムは CAS の化学物質登録システムの基礎となった.
• Robert E. Maizell (Olin Corp.) と Charles N. Rice (Eli Lilly) が CAS からの磁気テープを使って所内の化学者のための速報サービスを開始した. 同様のプログラムはほぼ同時にパーデュー大学でも学生のために開発された.
• Derwent 社が Farmdoc 特許情報誌を発刊, パンチカード索引を採用 (1963/1 より販売).
• ゼロックス社が UMI を買収.

1963

• ソ連の化学者 George E. Vladutz が化学反応のコンピュータ検索システムのアイデアを発表した.
• 米国国立衛生院 (National Institutes of Health: NIH) の援助により Institute for Scientific Information がコンピュータ索引による Genetics Citation Index (GCI) の第一号と Science Citation Index (SCI), のプロトタイプを発行した. GCI は中止されたが, SCI は 1964 に商業的に出版された.
• オフライン・バッチ検索システム MEDLARS (Medical Literature Analysis and Retrieval System)が National Library of Medicine で開始された.
• シェフィールド大学の図書館・情報科学系大学院が開設され, 2 年後には化学とテキスト・データベースのコンピュータ検索手法についての全面的な研究を開始した.
• ウォルター・リード陸軍研究所が化学構造を紙テープ・パンチ機を利用してコンピュータに入力する Army Chemical Typewriter を開発した.

1964

• 米国国立医学図書館 (National Library of Medicine: NLM) が Medical Literature Analysis and Retrieval System (MEDLARS) のサービス開始.
• CAS が新規な化学物資に一意的な番号を付与できる Experimental Chemical Registry System をスタートさせた.
• マサチューセッツ工科大学の Meyer Mike Kessler が実験的オンライン検索システム Technical Information Project (TIP) を開発した.
• Douglas Engelbart が入力機器としてのマウスを開発した. これはしばらく国立衛生院 (National Institutes of Health: NIH) の Lister Hill Center で化学構造の入力や検索のため使われた.
• ISI が Science Citation Index を発刊、613 雑誌、140 万件の引用文献を収録.
• Derwent 社が Ringdoc を発売開始.

1965

• 米国国立科学財団 (National Science Foundation: NSF), 国立衛生院 (National Institutes of Health: NIH), 国防省 (Department of Defense: DOD) および科学技術局 (Office of Science and Technology) の援助により CAS の化学物質登録システムが稼動した. 当初は CAS 所内の利用に供された.
• CAS はChemical Titles ファイルをバッチ (オフライン) 利用に提供開始した.
• CAS は National Cancer Institute で化学構造ファイルのオンライン検索を提供した.
• CA のコンピュータ作成がテスト的に導入された. 当時 CA 索引の作成は各巻が終わってから 22 ヵ月もかかっていた.
• 国立衛生院 (National Institutes of Health: NIH) から部分的な援助を受け CAS は Chemical Biological Activities を発刊した. これはコンピュータで編集した全文検索可能な抄録を掲載した最初のサービスで、冊子体とコンピュータ・テープが同時に発行された.
• 英国の Imperial Chemical Industries が CROSSBOW (Computerized Retrieval of Organic Structures Based on Wiswesser) プロジェクトを開始した.
• CAS は National Library of Medicine (NLM) と Food and Drug Administration と協力してコンピュータを利用した化学物質同定技術の開発を開始した. NLM は CAS 登録システムの技術を利用して Chemical Dictionary Online (CHEMLINE) と Toxicology Information Online (TOXLINE) データベースを開発した.
• Olga Kennard が Cambridge Crystallographic Data Centre をケンブリッジ大学の化学教室内に設立した.
• CAS は 1907 以降のすべての抄録をマイクロフィルムで販売.
• 米国で Chemical Notation Association 設立.

1966

• 英国化学会 (Chemical Society) の情報提供・検索研究部 (Research Unit in Information Dissemination and Retrieval) が Anthony K. Kent を所長としてノッティンガム大学に設立された. 1969 には U.K. Chemical Information Service (UKCIS) となる.
• 国際科学連合評議会 (International Council of Scientific Unions) が世界中の科学データの質とアクセスを改善するため Committee on Data for Science and Technology (CODATA) を設立.

1967

• 西ドイツで化学会社の協力の下に Internationale Dokumentationsgesellschaft für Chemie (IDC) が設立.
• CAS が索引システムに hetero-atom-in-context を導入.

1968

• 電子情報製品とサービスの作成、提供、利用にかかわる民間および公共の国内、国際機関によって Association of Information and Dissemination Centers が設立.
• Eugene Garfield, Saul Herner などにより Information Industry Association (IIA) が設立.
• CAS が抄録・索引する全文献を収録した CA Condensates 速報サービスが開始. CA 本誌に対応して初めて一般公開されたコンピュータ・ファイル.

1969

• U.K. Consortium on Chemical Information, ドイツ化学会 (Gesellschaft Deutscher Chemiker) と CAS が化学と化学工学に関する共通のコンピュータ情報システムを開発・運用するための協力関係を結ぶ.
• 英国の Chemical Notation Association が設立.
• Chemisches Zentralblatt が発行中止された.
• 米国国防省がコンピュータ間の通信が科学者の研究活動を促進することを示すため ARPANET (advanced research projects agency network) を開発.
• ハーバード大学の Elias J. Corey and W. Todd Wipke が OCSS-LHASA (Organic Chemical Synthesis Simulation-Logic and Heuristics Applied to Synthetic Analysis) 合成設計システムを開発. ライトペンやマウスを使って化学構造を入力すると, システムがその化合物を生成する出発物質や反応を提案する.
• 米国国立医学図書館 (National Library of Medicine: NLM) はその MEDLARS データベースを使って AIM-TWX (Abridged Index Medicus Accessed by Teletypewriter Exchange Service), 実験オンライン検索サービスを開始. System Development Corporation が開発した ORBIT ソフトウェアを使用.
• 米国航空宇宙局 (U.S. National Aeronautics and Space Administration: NASA) が NASA の各施設に対して RECON (remote console) オンライン検索サービスを開始. Lockheed Missiles and Space Corporation の開発した DIALOG ソフトウェアを使用.

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1970

• BIOSIS, CAS, Engineering Index が収録雑誌の重複の調査を開始した.
• コンピュータ・データ・サービス提供者の協力と共通の利益の追求のため European Association of Information Services を設立.

1971

• 日本で化学情報の国際流通促進のため化学情報協議会が設立された.
• 米国国立衛生院 (National Institutes of Health: NIH) と環境保護庁 (Environmental Protection Agency: EPA) が Chemical Information System の開発を発表.
• 米国国立医学図書館 (National Library of Medicine: NLM) の MEDLINE (Medical Literature Online) がサービス開始.
• 財団法人日本特許情報センター (JAPATIC) が設立

1972

• 商業オンライン・システム ORBIT (System Development Corporation) と DIALOG (Lockheed Missiles and Space Corporation) が米国でサービス開始.
• 世界知的所有権機構 (World Intellectual Property Organization: WIPO) とオーストリア政府によって INPADOC (International Patent Documentation System) が設立. 後に欧州特許庁 (European Patent Office: EPO) の一部となる.
• R. J. Feldmann が Chemical Information System (CIS) のためにインタラクティブな化学構造検索手法を開発.

1973

• NATO の Computer Representation and Manipulation of Chemical Information がオランダの Noordwijkerhout で開催.
• スイス Basel の製薬会社の情報グループで結成する BASIC が CAS の化学物質登録システムの結合表からフラグメント・マスク・ファイルを作成し、バッチ方式の構造検索システムを実現.

1975

• 東京大学大型計算機センターで CA Condensates を使った時分割オンライン検索サービス TOOL-IR 開始.

1976

• Herman Skolnik が米国化学会化学情報部会の Skolnik Award の最初の受賞者となる.
• CA の文献と索引を収録した,CA Search ファイルが導入され、まもなく世界で最も広く使われる化学データベースとなる.
• 日本科学技術情報センターのオンライン検索サービス JOIS 開始.
• Derwent ファイルが SDC Orbit に搭載される.

1977

• Stuart A. Marson, Steve Peacock, W. Todd Wipke により化学・製薬会社のためのコンピュータ・ソフトウェア会社 Molecular Design Limited が設立.
• BRS がサービス開始.

1978

• Molecular Design Limited (MDL) 社が設立.
• フランスで DARC システムを使ったオンライン構造検索システムがテスト稼働, 400,000 構造を検索.
• 日本特許情報センターがオンライン情報検索サービス PATOLIS 開始
• 日本経済新聞社が新聞記事オンライン検索サービス NEEDS-IR を開始
• 英国で Infoline 計画.

1979

• 日本科学技術情報センターが漢字オンライン検索サービス JOIS-K 開始.
• 日本 SDC が ORBIT のシステムを導入して「サーチ J」サービス開始.

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1980

• Gmelin Handbuch がドイツ語から英語への翻訳を開始.
• 英国化学会 (The Chemical Society), 王立化学協会 (Royal Institute of Chemistry), およびその他の機関の合併により王立化学会 (Royal Society of Chemistry: RSC) が設立.
• 米国化学会の Journal of Medicinal Chemistry,がBRS (Bibliographic Retrieval Service) オンライン・システムより実験的に提供.
• CAS のオンライン構造検索サービス CAS ONLINE がサービス開始, 構造作図には Hewlett-Packard 社の PC, HP2647A/F をグラフィック端末機として使用.
• CAS の化学物質登録ファイルを使った DARC オンライン構造検索システムがサービス開始.

1981

• Sheffield 大学の M. F. Lynch 教授が Markush 化学構造式の蓄積・検索方式 GENSAL を提案.
• Pergamon がビデオディスク技術を使った Video Patsearch サービスを開始.

1982

• ドイツ化学会 (Gesellschaft Deutscher Chemiker) により Fachgruppe Chemie-Information 設立.
• 英国で Chemical Structure Association 設立.
• Infoline を Pergamon が買収して Pergamon Infoline とする.

1983

• 日本化学会で化学情報部会設立.
• CA の最も完全なコンピュータ・ファイルである CA File サービス開始.
• 米国国立科学財団 (U.S. National Science Foundation: NSF) が ARPANET を INTERNET (interactive network) に組み入れる.

1984

• CAS ONLINE 他の非 CAS データベースとともに CAS, Fachinformationzentrum Karlsruhe のジョイント・プロジェクトである Scientific and Technical Network International (STN International) に統合.
• Journal of Biological Chemistry が雑誌として初めて投稿者に核酸配列について電子データベースの参照を記述することを要求.
• CAS が Pre-1965 Registration Project による CAOLD ファイルを公開
• 財団法人データベース振興センター (DPC) 設立

1985

• Bell & Howell Co. が UMI を買収
• データベース・サービス業連絡懇談会が「日本データベース協会 (DINA)」に改称
• ドクメンテーション協会が第 1 回「データベース検索技術者認定試験 (サーチャー試験)」を実施

1986

• Pergamon Infoline が ORBIT を買収

1987

• 第一回 International Conference on Chemical Structures がオランダの Noordwijkerhout で開催.
• 日本科学技術情報センター (JICST) が STN International に東京センターとして参加.
• 「サーチ J」サービス終了.
• 「データベース・サーチャーの会」結成

1988

• ヒトゲノム・プロジェクトの情報処理推進のため National Center for Biotechnology Information (NCBI) 設立.
• Knight-Ridder 社が DIALOG を買収.
• CAS が STN 検索のフロントエンド・ソフトウェア STN Express を発表, オフラインで構造作図が可能.

1989

• 第一回 International Conference on Chemical Information がスイス Montreux で開催.
• W. Todd Wipke の編集による Tetrahedron Computer Methodology が雑誌として初めて電子版のみで作成された. これはフロッピー・ディスクで配布された.
• BRS を Maxwell が買収.
• Maxwell が Jim Terragno を社長にして Maxwell Online を始める, BRS と ORBIT との統合を計画.
• Markush DARC サービス開始

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